アポスティーユの素:和文翻訳のテクニック(主語と時)
アポスティーユの素:和文翻訳のテクニック(主語と時について考える)
和文を翻訳するには、ちょっとしたコツがあります。
今回は、主語と時について考えます。
主語を決める
日本語では、しばしば、主語が省略されます。しかし、英語では必要です。
このため、省略されている主語を補って、英文に翻訳しなければいけません。
また、主語が明記されているものであっても、それをそのまま翻訳するのは、不自然だったりします。
1.主語について
(1)一般人と考えられるもの
例文 :春はよく眠くなることがある。
翻訳例:We often feel sleepy in spring.
One often becomes sleepy in the spring.
解説 :主語として、you/one/people/we等が考えられます。
ただし、weは、「私たち⇔その他の人々」という排他的な感じが残ります。
また、oneだけは、三人称単数扱いになることに注意が必要です。
(2)文脈からわかるもの
例文 :明日、英語の筆記試験があります。
翻訳例:We will have a written exam in English tomorrow.
I will be given a written exam in English tomorrow.
解説 :主語として、I/we/you等が考えられます。
発言した状況から考えて、主語を選ぶのがよいと思われます。
(3)無生物が主語になるもの
例文 :この薬は効きますよ。
翻訳例:This medicine will make you feel better.
If you take this medicine,you’ll get well.
解説 :一般的に、無生物が主語になるものは、人間を主語にして書き換えることができます。
(4)Itが主語になるもの
例文 :行くか行かないかは、君次第だ。
翻訳例:It depends on you wherher we go or not.
解説 :このItは、形式的な主語です。
(5)複数の主語が考えられるもの
例文 :当社の会議室には古い時計がかかっています。
翻訳例:There is an old clock in our conference room.
Our conference room has an old clock in it.
We have an old clock in our conference room.
解説 :このように、一つの和文に対して、たいていの場合は、複数の役が可能です。
(6)和文の主語が英文の主語にならないもの
例文 :昨日はお腹の具合が悪かった。
翻訳例:I had stomach trouble yesterday.
There was something wrong with my stomach yesterday.
解説 :my stomachは、主語にしないのが普通です。
時を決める
日本語では、時は、あいまいなことがあります。このため、英語の時を考えるのは難問の1つです。
論理的に考える場合と、動詞の時制に従う場合とが考えられます。
これを踏まえて、いくつかのヒントになる部分をお伝えします。
1.時について
(1)副詞から考えられるもの
例文 :彼はもうすぐ来ると思います。
翻訳例:I think he is going to come.
I think he will come.
I think he is coming soon.
解説 :副詞の「もうすぐ」がヒントになります。論理的に考えることになります。
(2)接続詞から考えられるもの
例文 :家に帰って、すぐに昼食を食べた。
翻訳例:I had a lunch as soon as I got home.
I had a lunch soon after getting home.
解説 :時制の一致が問題になります。英語は日本語よりも厳密な「時制の一致」についての決まりがあります。
(3)動詞から考えられるもの
例文 :彼の猫は手術中です。
翻訳例:His cat is now being operated on.
His cat is undergoing an operation.
解説 :和文は、名詞のような動詞です。これをどのように考えるかがポイントになります。
以上、主語と時について考えてみました。